車が気になり目覚し時計かけた7時30分の2分前に目覚める。いつもの事ながら人体の驚異。ラボに行って保険の事、車の性能などもう一度ネットで確認、「よし、買おう!」と決断。ディーラーのおっさん今日はオフと言っていたので朝早く電話すると悪いかな、と思いつつ車が無くなる事を恐れ9時前に電話。一度目はなぜか俺の携帯の音声が効かなくなり、2度かけるはめに。この車は俺が初めての所有者である事、よってメーカー保証が付く事をおっさんに確認し、「じゃ、買うわ」。おっさんもご機嫌、「じゃあ何時来る?」。こういう時に限って朝9時から午後2時半まで”writing successful grants””finding grants”というコースに出席する事になっていた。研究予算をいかに申請するかについてのセミナーで、今の俺には直接関係ない。研究予算を申請するためには自分の研究室を持たねばならず、そのためには論文たくさん書いて業績上げねばならず、そのためにはしこしこ仕事してデータ(しかも面白いやつ)を出さねばならず・・・と先はずっと遠い。ってゆうかそんな日は来ないかもしれない。一瞬さぼろうかとも思ったが、出席者数の限られたセミナーだし、それに何事も先行投資、冬の田んぼに寒肥えを効かす、というやつで、一見無駄なような肥料が将来の豊かな収穫につながるのである。それで事情を説明し「午後5時でいいか?」というと「3時半か4時だ、俺が迎えに行ってやる」と言う。「Certified check (銀行で確認の取れた小切手;車を買うような大きな金額のとき使う)のため銀行に行かなきゃならないし」とまだグズグズ言ったら「俺は今日休みなんだ、午後から用事があるんだぞ」とおっさん切れた。「わかった、とにかく都合の良い時間が決まったらまた電話してくれ」とおっさん。それでとりあえずセミナーに自転車で行く。遅刻だ。携帯をバイブレーションモードにしてセミナーを聴いていると一時間くらいして電話。おっさんからだ。しかし出れないのでそのままにしておいたら都合良く休憩時間になった。すぐにおっさんに電話すると、「よー、あの車だけどな、無くなったよ、他のディーラーに輸送される事が決まったよ。ハハハ、残念だったな、昨日買う事にしておけば良かったのによ」。
なにぃ〜!
心肺機能停止。
そういうことが起こるのを恐れて今朝早く起きたのに。昨夜のボスのアドバイスが裏目に出てしまった。畜生、あのオヤジうれしそうに・・・。「イクラちゃん・・・」などと言う気力も起こらず、足取りも重くセミナーに戻る。あー、こんな事ならこのセミナー出るんじゃなかった、何が先行投資だ、目の前のお宝も逃がしちまって、笑わせるな!
すっかり落ち込んでセミナーどころではなかった、初めは。しかしだんだんと講師の話しに引き込まれて行く。やっぱりアメリカ人は話しがうまい、特にこういう講演をするプロはさすがだ。もちろん英語なので聞き取れないところはたくさんあったが、それでも内容は分かりやすく、テンポ良く、ジョークは面白く、最後には「やっぱりこれに出といて良かったな」と思うようになっていた。超お買い得の車を逃してしまったのは残念だが、逃げて行ったものは仕方がない。それにあの車さすがに質が良い、とは言いかねたし、と自分を納得させる。いずれにせよ今は車が安くなっていてお買い得の時期、また気に入ったお買い得車が見つかるかもしれない。いや、それよりも車購入を仕事の目標とリンクさせてはどうだろう。例えば日本でやり残したままの仕事をきっちり片付ける、そしたらご褒美にちょっと高いけど高品質と評判のフォルクスワーゲンゴルフの新車を思い切って買う。そう、不運に嘆くのは去年でやめ、今年は不運をエネルギーに、不運を燃やして前に進む。2009年は超ポジティブシンキングなイクラちゃん、ではなく赤い彗星であった。
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