3/26/2010

チーズはどこへ消えた?

午後5時俺の発表のラボミーティング終了後、ボスにちょっと話があると言われ一緒にオフィスへ。「今年10月までの契約だが、それ以降の更新は残念ながら出来なくなった」と言われた。うちの大学では4年目からはいわゆる普通のポスドクからResearch Scientistに昇格、給与もアップさせなければいけない規定になっているが、その金がないと言う。機材購入のグラントは取れたが(確かに超高価な顕微鏡買ってたな)給与用に使える金のグラントが通らなかったらしい。


がーん、ショック。


しかし「青天の霹靂」かというとそうではなく
「ついに来るものが来たか」という感じだった。

このラボに着て早い時期から「大丈夫かいな?」という不安がずっとあった。
それがとうとう現実のものとなった。
なかなか良い感をしていた、さすがはニュータイプ、というところか。

ボスは大変すまなそうだった。
お前自身に不満があるわけではない、これからもなんとか金が取れないかやってみるし、君にも資格のあるフェローシップに挑戦して欲しい、もし他に移りたいのであれば良い推薦状は書くし、出来るだけのことはする、みたいな事を言ってくれた。

ありがたい。

しかしもし本当に俺が不可欠の人材であれば、それこそ給与を出さねばならない大学院生をくびにしてでも残そうとするのではなかろうか。だいいち俺自身これまでの自分のパフォーマンスに全然満足できない。高い給与を払い続けるギャンブルを犯すことは出来ないと思われたとしても仕方あるまい。

ボスを恨んでいるかって?
まさか。
それどころか「経験豊かなポスドクだったら何とかしてくれるかもしれない」という期待に応えられなかった自分の力不足を申し訳なく思う。
一人気楽な俺と違い、彼には妻と6歳の息子、1歳のかわいい娘、そして巨大な犬がいる。テニュアトラックという不安定な身分でそれらを支えなければいけないのだ。

それにこれはもしかすると新たな転機になるかもしれない。
もしかするともっとしっかりしたラボに潜り込んでもっと大きな業績があげられるかも知れない(ちょーラッキーでない限り難しいけど)。
人生には限りがあるとわかっているはずなのに、どうしてもまるで永遠に生きられるかのように毎日を過ごしてしまう。
こんな事でもないとなかなか思い切って行動できない。
グラントだって去年挑戦するといいながらいまだ一行も書いてはいない。
こんなことならテーブルマウンテン行っておけばよかった。
夏休み残り3日の小学校の宿題から全く成長していない。


とはいえやはり気分は落ち込む。


しかし気を取り直して行動に移ろう。
やるべきことはわかっている。

1)グラント、フェローシップを探して片っ端から挑戦する。
望みは薄い。しかし宝くじは買わなければ決して当たらない。

2)新しいポジションに応募する。
前回ロンドンを離れた後はかなり行き先を選んでいたが(そしてこのざまだが)、今度はそうも行くまい。
それどころか何もないかもしれない。
よりによってこの厳しい経済状態、高失業率の社会情勢、頭が痛い。

3)別の仕事に移る。
アメリカ企業で働く自分なんて、こんな英語力では想像できない。
外国人の場合H1ビザ取得という関門がありかなり厄介である。
ほとんど無理だろう、面接に行っただけでだめかも。
しかしそれさえも良い経験になるやも知れぬ。

4)思い切って切れる。
幸い俺には養うべき家族はいない。
まじでブラジル行っちゃう?
アマゾン川で毎日釣りして、アミーゴたちと飲んで踊って、若い嫁さん見つけて子供バンバン作って自分の遺伝子を野生の大地にばら撒く。
10年で行き詰って野垂れ死んだとしても、日本でこれから30年40年不本意に生きるよりよっぽど楽しいような気がする。


希望に満ちてアメリカに降り立った2年半前の11月1日を思い出す。


考えようによっては、これはいわば「ガンで余命7ヶ月」と宣告されたようなもの。
逆に目標がはっきりしてやり易いくらいだ。
これから7ヶ月の間、もちろん次の仕事探しに力を入れなければならないが
実験のほうも目標を絞って何とかまとめ上げ
この緑豊かなバージニアも出来る限り楽しみたい。
11月1日になって「ああ、あれもこれもやっておけば良かった」と後悔だけはしないよう
完全燃焼したい。




まあこれから眠れない夜もあるかと思うが


頑張れ、俺!


いやまじで。

4 件のコメント:

ぜのぱす さんのコメント...

え”!

急な話ですね。

取り敢えず、学内で探すと云う手もありますね。そうすれば、visaの手続きが簡単ですから。そうして、食い扶持を取り敢えず確保して、じっくり次を探す、と云うのは?

Tada さんのコメント...

ほほう、そんな手が。

取りあえず(今度こそ)飯でも食べながらお話を伺いたいのですが、いかがでしょう?ナマズの唐揚げに限らず・・・

penguins さんのコメント...

うちのラボにいたポスドクも、大学内のほかのラボでResearch Scientistになりましたよ。結構仕事はあるみたいでした。

Tada さんのコメント...

そうなんだ、ちょっと安心。

しかし「これはカリフォルニアに移るチャンスかも」などと夢想したりしてます。

相変わらずアフォですね。