ロンドン時代の友人のマイクからメールが来た。婚約したとあった。おおっ、ついにやったか!俺がいた時は同じラボでテクニシャンをしていたが今は研究所の会計事務に移ったと聞いた。イギリスでは男同士の結びつきが強いと言われているが(men's bondingというやつ)、リバプール出身の彼も大変友情に厚く、およそ友人として持つに最高の男といえるだろう。
俺がロンドンを去る年はドイツでサッカーワールドカップが開かれていた。うちの研究所もヨーロッパ各国から人が来ているので大変盛り上がり、決勝フランス対イタリア戦をいかすパブのでっかいスクリーンで観ようということになった。そこで数ヶ月前から新しくハウスメイトになったポーランド人の女性を誘って連れて行ったらマイクが一目惚れ。みなで楽しく飲んで叫んで試合観戦。試合は予想外にイタリアが勝ってお開きになったので彼女と家に帰ろうと歩いていく。するとマイクが追いついてきて彼女に「今日は俺と一緒にいてくれ」。しかし彼女は疲れていたのか「今日はもう帰ります」。「わるいな」と彼女を連れて帰ろうとすると「タダ、悪いけどすっこんでてくれ」とさらに彼女を口説きにかかるが「いい加減にして!」と怒って歩き出してしまった。えーん、板挟みのぼく。でも仕方ないのでマイクはほっておいて彼女とバスで家に帰った。
それから数日後に俺は4年住んだロンドンを離れ、日本に戻った。その後しばらくしてマイクからついに彼女と付き合うようになったとメールが来た。あれから3年、とうとう婚約するまでこぎつけたか。メールには「あの日彼女を連れてきてありがとう、おかげで俺たちの人生の決定的な日になった」とあった。うーむ、相変わらずいい奴。そしていまでも毎週月曜はマルコムと例のハードトレーニングを続けているとあった。そう、毎週月曜のランチタイム、どんなに悪天候でも決行されるという誓いのもと研究所の裏の緑の野原で軍隊みたいなトレーニングをしたものだった。初めの頃は疲れ切ってそのあと昼飯なんて喉を通らなかったな。仕事もフラフラでそこそこに。少しずつ回数を増やすという決まりで、今では腕立て伏せも1セット70まで増えたらしい。今の俺では悔しいがとてもついていけない。でもいつかまたあそこに行く機会があったら参加したいな。一緒に泥まみれになって手押し車に悲鳴を上げたいな。と、緑豊かな北部ロンドンを思い出し遠い眼差しになる俺であった。
それにしても今週はこの手の話が立て続け、何と言う偶然。
あと日本の「草食系男子」とかは奴の爪の垢でも煎じて飲め。
(あ、俺もか)
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