
早朝から昨日の興奮冷めやらぬU君とカヌーで釣りに出かける。朝日が昇り、湖面は鏡のよう、とても静かだ。俺はすでに仕掛けがなく見ているだけ、ちきしょう、不機嫌。途中2人ともウンコがしたくなりカヌーを岸に着けて森の奥へ。一斉に蚊の来襲に遭うが仕方ない。トイレットペーパー持ってこなかったので葉っぱで拭く。当然拭ききれず、手に付くやら残るやら、これまた仕方ない。カヌーに戻ると俺の気持ちを察したのか U君が俺に道具を渡してくれた。やった、早く渡さんかい。気が狂ったように一生懸命ルアーを投げる。一度あたりがあったが逃げられた。それっきり。 U君はカヌーで寝たまま。なんだか彼の釣り道具を使い通しで申し訳なくなって来た。けっきょくボウズで島に戻る。
今日が最後のキャンプ。情けないことだが3人とも疲れ切って出来ればもうおうちに帰りたいと思っているのだがそれは口に出さず、もと来た航路を戻る。行きは向い風だったが帰りは追い風、驚くほど楽勝だ。ポーテージポイントを超え、Small Cedar Lakeにある岩の上で休憩。濡れてしまったのを昨日の焚き火で乾かした食パンをおいしそうに食べる。こんなの普段だったら捨てている。昨晩の米カスの浮いていたアールグレイティーにしても、いつもだったら飲まねーあんなの、それが昨日は五臓六腑に染み渡った。普段俺たちが当たり前と思って暮らしている文明生活がいかに便利なものなのか、本当にカラダ全体で思い知らされている次第、ありがたやー。川に入って泳ぎ、体に染み付いた汗やらウンコの残りやらを洗い流す。
Cedar Lakeに入ってから風が横から吹くようになりきつさ倍増。しかしあくまで目標であるBrentの対岸のキャンプサイトに向かう。天気がどんどん悪くなり、風も強さを増して来た。神様の意地悪だ。 Cedar Lakeの西岸に来た辺りでいくつかキャンプサイトが現れた。他の二人は「もう疲れたのでここで上陸したい」という気持ちがありありだったがあくまでこの辺りでベストと思われるキャンプサイトを目指す。岬をまわると葦の群生。すばらしい景観に興奮する俺。ここは今までで最高の場所だ、これだ、俺が子供の頃から憧れていたのは!しかし今度は逆風をついて川を遡らなければならない。二人の不満が上昇するのをなだめすかし、休みを入れ、美しい葦の湿原をカヌーは進む。しばらく行くと、ムースだ!黒い巨体が半分水の中、水草をむしゃむしゃ食らう。大きく広がった角、なんと威厳ある生き物。しばらく見とれた後カヌーを進め、やっと目的のキャンプ地に到着。もう慣れたもので素早く火をおこしテントを張り、シチューを食らう。その後釣り。残念ながら何も釣れなかったがまあいいや、この景色だけで十分。疲れ切ったU君はさっさとテントへ。釣りに飽きた俺が次でテントの真ん中に、火の番をしていたT君が最後にテントへ。
うとうとしていた所へ U君が何か叫ぶので目が覚める。何だよー。「何かものすごい物音がしましたよ?」「俺には聞こえてねーぞ?」テントの入り口から外をうかがう U君。「やれやれ、臆病だなー」と思っていると U君が「$%@&*+!」と叫び、すぐ後にテントの横を巨大な黒い固まりと、それよりふた周り小さなものが走りすぎて行った。「うわ、何じゃ!?」とさすがに俺も驚く。 U君の話しによるとその黒い巨大な物体はこっちのテントめがけて真っ直ぐ走って来て「ぶつかる!」と思ったらさっとよけて走りすぎたらしい。すっかりビビった U君。きっとムースの親子だろう、クマじゃなくて良かったね、とさも平常心を装うが、もしクマが現れたら、と正直心配になった。そうこうしているうちにまたウトウト、と思ったら今度は雨が降って来た。しかも強い。雨のテントは居心地悪いことこの上ない。「水が入って来てます」と泣き言を言う U君。俺は真ん中なので浸水は届いていない。申し訳ないが眠くて仕方がなかったので聞こえない振りをして寝た。ゆるせ。
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